会長の想い
木について考えていきます。(15)
有害鳥獣被害対策について
県内の山裾には、ネットや電気柵が張られている所が多くなっています。又、センサーネットワークによる情報化を取り入れ、柵のない鳥獣被害対策をされている行政もあります。いずれにしても完璧なものはありません。猿は立ち木を使い巧妙に柵を越えます。猪は柵の下を掘り柵を越えます。熊は河川を下り柵を越えます。でも空を飛ぶ鳥には手が出ません。 県ではカモシカの被害を食い止める策としてカモシカの数を減らす事に力を入れようとしています。本年度はメス鹿のみを捕獲するとの発表がありました。 いま県内の行政で行われている罠、檻による捕獲も必ずしも良いとは言えません。 当村の少し前の事例を見ますと、山間部の畑や山裾には野ウサギの姿が良く見えました。雪が降りますと白い新雪の上はウサギの足跡でいっぱいでした。今はその足跡は一つも見当たりません。ウサギを減らす策としてキツネを放したのです。
その決果ウサギは全てキツネの餌食となり、今ではU字溝や側溝、藪の中からキツネがよく出てきます。最近では空き家に居付き、ハクビシンやタヌキと共に姿が見えます。これは有害鳥獣対策によるデメリットとも言えることが出ております。 昔は山へ行ってもウサギやシカに会いましたが、熊には会いませんでした。 それは山の下草を刈るなど手を入れていたからです。山の木を使わない事による弊害が自然の動物達にも出ている事になります。これらは里山の木を使う事により、かなり解消されると考えます。
綺麗に整備された里山は、熊、猪、鹿、猿にとっても住み良い所ではないはず。第一餌になる雑木や雑草がなければ動物は住みません。山裾の木が切出され、暗い山の中に陽が入り、残った木には下の根元まで陽が注ぎ、やがて立派な木と成長して木曽のブランドの五木に負けない木となり、我々の次の時代の人達の山として、長野県の為になるでしょう。